『ひとりりしり』6.避難要請
また来た道を戻ってコンビニへ行った
30分くらいかかっただろうか
何度もキャンプ場からわざわざここまで歩いてくるのも大変なので
今日含め3日分くらいの食料と飲み物そして登山用の行動食非常食を買った
コンビニを出ようとしたとき
雨に加えて風も
心に傷を抱えた不良少年のごとく
ムチャクチャに暴れだしていてちょっと手がつけられない状態です
嵐というものは何か起こりそうな
チョットしたイベントというか退屈しのぎというか
非日常なところが楽しいところでもあるのだけれど
それはきっと快適安心生活拠点の家があるからであって
今この責苦の中帰ったら私の布の家はいたるところが
湿り不快不快不快不快不快不快でいっぱいで
不快指数100パーセント間違いないというかつまりは
濡れた色々を乾かしたりしたかったし(A)
テントの中でカッパを脱いで濡れたまま袋に突っ込んでおく
ということもしたくなかったし(B)
現代人のそれなりの女子的清潔にしたい欲求(C)で
計算式はA+B=C C+さっきの名刺=宿という単純計算
したがって私は先ほどのジェントルメンに電話しますけどいいですね?
ってゆー答えを導き出してテレフォン
といろいろ述べてみたけれど結局のところ私は
こんな嵐の中一人外で眠る勇気がなかったのでしたー
電話をかけるとおじーさんはすぐに出た
そして私は民宿に泊まりたい旨を申し出て費用は如何程かと尋ねた
するとおじーさんは「寝袋持ってきてるんでしょ?
寝袋で寝るんだったらお金はいらないから」と言った
導き出した答えは◎のようだ
私は感謝して1泊させてもらうことにした
そして数分後
おじーさんはアッシー君のごとくすぐにコンビニまで迎えに来てくれた
それから一度キャンプ場へ戻りテントはそのままにして
必要な荷物だけ持って民宿へ行った
テントをおいていくのがすごく不安だった
降り注ぐ雨がテントの涙のように光りましたとさ
民宿は一軒家でどなたかのお宅といった佇まい
中に入ると受け付けとちょっとしたくつろぎスペースがあって
その奥に階段があり、登ると部屋がいくつかあった
広くはないが思った以上にすごく清潔な民宿でどうやらリフォームしたてらしい
二階には無料のお茶も完備してありお好きにどうぞで
共同の冷蔵庫も使っていいとのことだった
なんという親切!!
畳の敷いてある1人用の部屋を貸してもらった
テーブルとざぶとんとクローゼットしかない簡素だがやはり
清潔な部屋でちいさな窓からは荒れ狂う日本海が見えた
親切とさみしい風景でセンチメンタルな気持ちになりながら
荷ほどきしていると
濡れた靴なんかを乾かすといいよといって
おじーさんのアッシー君
つまりおッシー君は乾燥機というのかな暖房の機械を持ってきて
濡れたものを乾かすのを手伝ってくれた
早く1人になりたかったが
なんという親切!
ちなみにのちのち話していてわかったことなのだが
おっシー君は定年退職する前は教師だったららしく
くつろぎスペースには教え子の写真が何枚かあった
奥さんは先に亡くなってしまい夏以外は一人で東京のマンションに住んでいて
夏の間だけ利尻で民宿の管理をしているとのことだった
若い頃に利尻を訪れその時も今日のようなひどい天気で
困っていたところ島民の人々に親切にしてもらった思い出があるので
自分も旅行者の力になりたいと思っているようだった
なんというナントカ!
しばらくくつろいだ後
温泉に連れて行ってくれた
おッシー君は「ちょっと用事があるから
温泉から出たら迎えに行くから電話して!」といって私を温泉に送りどこかへ行った
なんだか悪いなあとそろそろ思い始めてきたけれど
まあいいか!
温泉から帰ったらジンギスカンの夕食だった
車の中でおッシー君がジンギスカン一緒に食べよう!ウニもあるよ!
と言ってたので私は他の宿泊者と一緒にテーブルにつくのだと思っていたから
面倒だなあってゆーのと私はお金を払っていないのに食べていいのかなあ
ってゆーので遠慮しようと思っていたのだけれど
たまたま今日は私の他にお客さんがいないのであった!あれま!