むなつきはっちょう

個人的徒然気ままブログ

『ひとりりしり』5.無言ヒッチハイク

 

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あいにくすぎるあれ狂う波にゆられながら
船は岸を離れ出港した
 
降り注ぐ雨の中デッキに出て離れてゆくさまを見て
満足して中へ入る
することが全然まったくなにひとつないのでまた一眠り
 
1時間半くらいでどどんと到着
 
船からおりると たくさんのホテルの送迎の人が
がやがやとそれぞれの待ち人をお迎えにきていて賑やか
だけど私には迎えてくれる人はいないので
スルリとそこをすり抜けて1人キャンプ場へと歩き出した

 

外は豪雨で見知らぬ土地で
旅立ちの意気込みというか
前向きな気持ちとか高揚感が全部雨と一緒に流れ出ていくような気がした
そうして気持ちが挫けてきたので
私はだんだんと歩くのが面倒になってきた
横を通り過ぎていく車を見ながら
一台の車が私のために止まってくれないだろうかと考え始めた
そこで私は“強がりつつもさみしい背中”を演出してみたアクトレス
すると半分くらいの道のりを歩いたところで
一台の車が止まって声をかけてくれた
「どこまで行くのさ?」
「温泉の近くのキャンプ場です」
「送って行ってあげるから乗りな!」
「え!いいんですか?助かりますありがとうございます!」
そうして私はためらいもなく車に乗り込んだ
これを待っていたのだ!この展開を!


声をかけてくれたのは
70代くらいの小柄で優しそうなおじーさんだった
丁度温泉に行くところらしくキャンプ場まで送ってくれた
 
キャンプ場に着いて受け付けの
愛想がないというよりもなんだかシャイすぎるおじさんに利用料金を支払い
まだ待っていてくれてるおじーさんにお礼を言うとおじーさんは
「この天気じゃテントを立てても眠れないだろうから
うちの民宿においでよ」と言った
 
おじーさんは利尻島で民宿をやっているらしかった。
とてもありがたい誘いだったがあまりお金は使いたくなかったのでお断りした
すると「何か困ったら電話してよ」といって名刺をくれて去って行った

 
 「ファミリーキャンプ場ゆ~に」
という名前のキャンプ場だから
ファミリーでいっぱいなんだろうなぁと思ってたのに
この雨だからかまだ夏休みは始まってないからか
キャンプ場にはテントが2張りしかなかった
びしょ濡れになりながらも
自宅でこそこそ練習したかいあって
テントはすぐに張られ
中へ入るとそこは子宮内的安らぎで満ち溢れていて
もう二度と辛く寒い厳しい外になんか出るか‼
と決心したのもつかの間
私はこれから過ごす日々の食料を仕入れに行かないと
食べるものがないのだと気づいたーあー