『ひとりりしり』 4．動き出した電車の窓から手を出して

7月12日 　午前6時10分

音威子府発稚内行き普通列車
 

夏の北海道の朝の寒さに透き通る静けさと
夏なのになんでこんな寒いねん！てゆー
苛立たしさを感じながら
電車に乗り込んだ

動き出した電車の窓から手を出して
見送りに来てくれた友だちに手を振るのは
別れが強調されてなんだか心細かった
１人になっていよいよ目指せ利尻島！

 しかしせっかく早起きして朝早い電車に乗ったのに
私の計画ミスか田舎の電車の恐るべきタイムスケジュールか
どちらかわからないが
途中の駅で1時間列車待ち合わせの為停車致しますとかで
なかなか前に進まない
音楽が聞きたいけれども携帯の充電の消耗率が
使用年数と共に右肩上がりで諦めて、
本も荷物になるから持ってきてなくてとりあえず一眠り
 
稚内に着いたのは午前9時5分だった

稚内駅はかなり立派で清潔な建物だった
そこそこ賑わっていて
最北端的淋しさは微塵も感じさせず
駅員さんも若くハツラツとしていて
チャッカリゆるキャラもいちゃったりして
なんかおしゃれっぼいカフェとかお土産屋さんにも
オシャレな若者がいたりして
場違い感
 
2011年に東南アジアを旅した時
出発の羽田空港は春休み中のオシャレにきらびやかな大学生で溢れていて
バックパックになるべく地味な格好をしてきた私は
何だか見下されてるように勝手に感じて
勝手に何だか努めて偉そうにしていたけど
旅立ちの時が台無しになりそうになっていることに気づいて
そわそわするのをやめてこれから行く場所へ思いを馳せた

そのときのことが思い出された場違い感に
懐かしい愛着を抱きつつ
足早に駅を出る

外は最北端なめたらあきまへん
って感じで雨がふっていて激さむ！
しっかり着込んだままザックにカバーをかけ
フェリー乗り場へ向かう

11時10分のフェリー出航の時間まで
だんだんと嵐になりつつある海を
ただひたすら眺めた
ここからロシアに行くことも可能なのだなあと
考えてみたけれど
パスポートを持ってきていないや

海が見えるとやっぱり淋しい感じ

ロシア語表記がいたるところに

ホントは野生のゴマフアザラシなんだけど
稚内の美味しい昆布を食べ過ぎて
下半身が昆布になっちゃいましただってー
上半身もなりかけてるうー