『ひとりりしり』最終話 昆布の
私は山登りを終え
とにかく早くこの島から出たいという気持ちになっていた
なぜならこの狭い行動範囲内では
いつおっシーに遭遇するかわからないからである
夜中車の音が聞こえると
私の行き過ぎた想像力は
おっシーが様子を見にテントのすぐそばまで来ているのではないかと思わせた
書き忘れたが実は山を登っている途中でおっシーに遭したのです
登山口から数分歩いたところに湧水が出ているところがある
甘露泉水といわれていてちょっとした名所っぽいところのなのだけれど
そこで毎朝湧水を飲みにくるというおっシーに出会った
そして「登山道は昨日の雨でひどい状態だから今日は登らないほうがいいよ
明日の方が天気も良いし明日一緒に登ったらいいじゃん」
と言われた。
私は「そうですか~ ま でも足ならしに途中まで行ってみますね」と答えると
おっシーは「それなら6合目までにしておきな」と
だから「わかりました6合目まで行って戻ってきます」
と言ってもちろん頂上まで登りきったのでしたー
甘露泉水
翌日朝一番の8時40分の船で帰ることにした
しかし翌朝おきて
朝食を食べ
テントをたたんで
港まで歩いていくと
ほんの数分の差で船に乗り遅れてしまった
疲れていて朝すこしゆっくりとしすぎたようである
もう間に合わないだろうなと思いながら
もしかすると間に合うのではないかとやってみたが
やっぱり間に合わなかった
次の船は14時05分というから
それならそうそうに8時40分など諦めて
テントでくつろいでたらよかったと決断力の無さを思ったが
そういえばテントを片付けようかなと思った時に
地面が動いたような気がして
なんだろうと思ってよくよくみると
大量のワラジムシがテントの周りをうようよしていたので
ちょっともうここにはいたくないと思って急いでテントを畳んだんだった!
ありあまる時間をどうしようか考えて
しばらくお土産屋さんを見ていたら
昆布サイダーなるものを発見!
そうとう追い込まれないとこの昆布とサイダーの発想は出てこないのではないだろうか
商品開発者にふりかかる強力なプレッシャーを垣間見たような気がした
試しに買って飲んでみるとそれは意外と普通のサイダーで
なんだか残念でもあり安心したのであったが
飲み干してからよく見るとビンの奥底にどろっとした昆布色の沈殿物が残っていた
よく振ってからお飲みになるべきであった
しかも作っているのは別に利尻じゃないというありがちなオチ
海外旅行に行ってメイドインチャイナのお土産を買うような思い
お試しあれ!
その後いよいよすることがなくなったので
とりあえず荷物をロッカーに預けて
レンタル自転車を借りに行った
2時間800円という日本国内ではまずまず
良心的な値段と思われる金額で自転車を借り
おととい行けなかった姫沼まで行ってみることにした
先程までいたキャンプ場のすぐ近くから姫沼の少し手前まで
サイクリングロードがあるようなので
来た道を今度は自転車と一緒に戻り
森の中のサイクリングロードを姫沼へ向けてのんびりと出発
利尻に来た日の天候の悪さを取り返すように
容赦のない日差し
木々のあいだから綿毛が飛んでいて真夏なのに雪が降ってるようで不思議
誰かに行き先を決められるのでもなく
誰かに見方を指図されるのではなく
自分の足で島を感じるのはとてもフリーダムだなあ
とらえられない綿毛感
レンズのよごれじゃないよ!
橋の上
橋の上から見た景色
姫沼
上から見た姫沼
潮風よこんにちは
1時半に自転車を返しフェリー乗り場へ向かう
乗り場には行列が出来ていて大混雑
今回は無事に乗ることができ稚内へと出航
本来の予定ではこの後礼文島にもいくつもりであったが
私は安全な場所へ帰りたいという気持ちでいっぱいだった
集中力が切れたときはトラブルが起こりやすいものだ
神の思し召しがあれば礼文島はいつかいくだろうさー
さっきまでいた橋を今度は海から眺める